老舗の伝承とイノベーション

さらに良い商品を提供できるよう、努力し続ける

創辦人在排貨六十年の歳月を歩んできたことは決して簡単なことではありません。時代ごとに流行る商品も変化していくため、経営の仕方を調整し、時代に追いつかねばなりません。克林は当初の洋菓子、雑貨、そして輸入食品と続き、台湾の歴史の中で経済成長期、世界の金融津波、台湾の政党交代などといった様々な時代を歩んできました。大きな転換を迎える度、経営の仕方も時代の変化に対応しつつ、お店を続けてきました。

克林はお客様に良い商品を提供してきましたが、約十年ほど、未来への方向性を迷い失った時期がありました。二代目の劉宗安さんは食パンの人気が下がり、量販店が増え、輸入食品も普及しつつある傾向を目にして、店の看板商品である八宝肉まんの改良に力を注ぎました。彼が独自の手法でリニューアルした肉まんの生地は冷凍や蒸すことにより、見た目や食感に変化が生じることなく、餡の具材もしっかりしており、多くのお客さんの心をつかみました。その後台南の観光ブームが訪れ、皆にすすめられる当地のグルメやお土産となりました。

[一包一菜]一つの中華まんは、すなわち一つの料理であり、そのおいしさを最大限に発揮させる

一包一菜八宝肉まんの人気が続く中、三代目が店を引き継ぎました。現状に満足せず、家族全員の期待に応えられるよう、塩味・甘口・菜食系・常温、あるいは温かい「麺パオツー」(パンのような中華まん)といった様々な商品を開発しました。克林の良い商品を提供する努力精神が詰まったバラエティー豊かな「麺パオツー」は、ご家族やご自分で召し上がっても、親しい方への贈り物としても、必ず満足していただけます。

新しく開発された当店の商品は原料の品質向上を求め、現地で生産された食材を利用し、食材に費やす輸送距離を短縮しました。また独自の技術で、餡の具材に合う生地を開発しました。[一包一菜]とは、「一つ中華まんは、すなわち一つの料理である」とのことであり、この理念で中華まんのおいしさを最大限に発揮させました。


台南マカロンーカラフルな「膨餅」

当店はバラエティー豊かな中華まんのほか、開店当初から今まで引き続き販売されてきた伝統のお菓子があります。そのうちの「膨餅」は台南の伝統的な甘味です。作り方は甘口の餡を生地に包み込み、棒で大きな平たい円に伸ばしてオーブンで焼きます。糖の性質を利用し、加熱してる間に生地を丸く膨らませるのです。

かつて台湾が農業社会だった頃、生活は貧しく、女性は産後の栄養補給に、ごま油で卵を焼き、「膨餅」を作り、これらを食していました。現代では「膨餅」はおやつとなり、食べる人は少なくなりました。

昔の「膨餅」は薄力粉で作られました。そのため形が崩れやすく、遠くまで持ち運ぶには不向きでした。そこで克林は台南の伝統的なお菓子を現代に残し、または広めるため、強力粉で作りました。本来サクサクとした「膨餅」がパリッとした食感に変化し、また伝統製法により、形が崩れやすい難点を克服しました。さらには日本の天然クチナシ成分や梅、ココアなどが加わり、「膨餅」の味を昔からの黒糖や白糖の二種類から十数種類まで増やしました。色もカラフルであり、まるで台南風のマカロンです。

「膨餅」本来の包装は透明な箱で彩りを楽しむ仕様でしたが、最近は地元のデザイナーと連携し、古屋と「窓花」のパッケージに変更しました。「窓花」というのは六十、七十年代当時に普及していた建物の装飾です。昔の職人は加工しやすい炭素鋼を用いて窓を作り、美しいラインで装飾を施し、同時に家庭の安全を守っていました。今はビルが建ち、職人の手によって作られた装飾の温もりもだんだん消え去っていきました。そこで克林はかつての台南風景の一部を記録し、観光に訪れた人々にも伝えたい思いから、台南の「窓花」アート、観光、グルメを一つに組み合わせました。装飾アートを伝統的な「膨餅」に焼き付けた「膨餅」を召し上がるほか、商品パッケージ内付属の地図を利用して、昔からの装飾アートを探しに行ってみてはいかがでしょうか。